6月29日、島津乃荘 地域交流センター に
宮崎県「県南ブロック」の各施設から 管理栄養士・栄養士・調理員 が集まり、
『平成28年度 県南ブロック特養部会「栄養士・調理員研修会」』が開催されました。
医療機関関係者や他職種からの参加も多かったことから、参加人数は総勢50名にもなり、熱気を帯びた一日となりました。
ディスカッション
午前中は『経口移行・経口維持について特別養護老人ホームが目指すものと役割について』のテーマに沿って
3つの議題を討議しました。討議は6つのグループに分かれ、それぞれのグループでの意見をまとめて発表する形で進められました。
経口移行・経口維持に取り組んでいますか?取り組んでいる場合どのような方法で取り組んでいますか?
取り組んでいない場合はどのような課題がありますか?
経口移行・経口維持を実施する上で他職種との課題がありますか?
またその中で栄養部門の役割はどのようなものと考えますか?
今後、特別養護老人ホームは利用者の口から食べる喜びに対して
どのような役割を担うべきだと思いますか?
討議は、普段なかなか知る機会の少ない他施設の取り組みや考え方について聞くことができる良い機会となりました。
どの施設も「利用者様に喜んでいただける食事をご提供したい」「口から食べる喜びを感じていただきたい」という強い思いがあり、
それぞれの施設の特色を生かした食事提供がなされています。
改めて「島津乃荘 も頑張っていかなければ!!」との思いに駆られました。
休憩
グループ討議が終わると昼食と休憩時間となりましたが、
時間を惜しむように知識技術や取り組みについての意見交換があちらこちらで行われ、
貴重な参加者同士でのコミュニケーションを図ることができました。
講義
午後からは、まず施設見学で島津乃荘 の取り組みを知っていただいたあと、
講師を招いての講義の時間となりました。
講義は、宮崎県において摂食嚥下障害についての第一人者である「ひとえ歯科クリニック」の宇都仁恵先生に講師をお願いしました。
講義内容は「多職種で支援する経口摂取~認知症の胃ろうの患者が再び食べ始めた~」。
嚥下障害の基礎知識、高齢者の低栄養、誤嚥性肺炎など、
多くの内容をスライドやVF(嚥下造影)映像をまじえて講義いただきました。
中でも興味深かったのは、先生がこれまでに実際に取り組まれた経管栄養から経口摂取への取り組みの事例紹介で、
歯科医師だけでなく管理栄養士、調理師、ヘルパー、ケアマネジャー、セラピスト、看護師、医師など
多くの職種が同じ目標をもってご本人とご家族とともに協力し、口から食べる喜びに繫げていった症例を知ることができました。
経口摂取へ取り組む過程での様々な訓練と、口から食べることができるようになったことで様々なADLが向上し、
経管栄養で寝たきりに近い方が歩行器で歩くことができるまでになった例も紹介されました。
私たち管理栄養士や調理師は日常的に「食」に携わっていますが、
人の身体機能面、精神面に対しての影響力を目の当たりにし、口から食べることの力に驚くとともに、
あらためて強い使命感を持つ機会となりました。
講義の後の懇親会では、自分たちが経験してきた症例や悩みについて直接意見を伺うことができました。
研修会を終えて
研修会後に行ったアンケートには「多職種で取り組むことの重要性がよくわかった」
「自分の施設でもできることから取り入れていきたい」などの意見が数多くあり、
参加された方にとっても意義のあるものになったようでした。
今回、県南ブロック特養部会の栄養士・調理師研修を担当させていただく中で、多くのことを学びました。
参加された皆様、充実した内容をわかりやすく講義していただいた宇都仁恵先生、
そして、貴重な機会を与えて下さった県南ブロック特養部会の研修運営委員会事務局の皆様に感謝いたします。
ありがとうございました。
報告者 島津乃荘 管理栄養士