現在取り組んでいる 摂食嚥下実技研修 において、 これまで実際の食事や直接訓練を行う前の準備段階における実技として 「食事時のポジショニング(ベッド編| 車椅子編 )」「ベッドサイドでのスクリーニング」と 学んできましたが、今回はいよいよ「食事介助」の実技研修が実施されました。
タグ「摂食嚥下実技研修」
「口から食べる支援に関する実技研修」として、 前回のカリキュラム「食事時のベッド上でのポジショニング」 に続き、 「車椅子座位でのポジショニング」が実施されました。
現在取り組んでいる 摂食嚥下実技研修 において、 これまで実際の食事や直接訓練を行う前の準備段階における実技として 「食事時のポジショニング(ベッド編| 車椅子編 )」「ベッドサイドでのスクリーニング」と 学んできましたが、今回はいよいよ「食事介助」の実技研修が実施されました。
食事介助は、対象者の心身機能・運動機能・介助の程度など、個別の対応や工夫が必要となる奥が深いものですので、 今回はその基礎となる技術について学びます。
まず講師の方から、食事介助をする上で必要なことと、今回行う事の説明がありました。
環境調整は、私たちが普段食事をする時と同じように、 顔や手を洗って目が覚め、口の中を清潔にし、排泄をし、食事をする場所に移動し、 食事を準備する音や匂いを感じる、というように、安全かつ食事に集中し食欲が沸く(食事をするための心と脳の準備をする)ということでした。
食事の配置場所は、利用者様から食べ物が見えるように配置しながら介助者も操作しやすい位置を意識する、 食具は、様々なスプーンの特徴と活用方法や、視覚情報提供とすくいやすさを考慮した食器とはどのようなものか、などを学びました。
そして最も印象に残ったのは、
などが、食事介助の際の一連の動作に含まれており、 すべてが食事を摂取する上でのサポートになっているということでした。
実際に自分たちで介助者役と利用者役をやってみると、どの角度で介助されると快適なのか不快なのか、 どの形態をどの位置に置くと咀嚼や嚥下の動作に移行しやすいのかなどがよくわかりました。
利用者様の状態によってはすぐにすべてを実践できるとは限りませんが、 ひとつひとつの配慮は難しいことではないものなので、利用者様に より安全に楽しい食事をご提供することで 食事を喜びと感じていただけるよう、早速出来ることから実践していこうと思います。
まずはじめに講師の方から次のようなお話がありました。
スクリーニングは食べることや飲むことが できない ことを評価するのではなく、 現在どのような状態にあり どのようにすれば食べたり飲んだりできるようになるのか を検討する材料を得るために行うものです。 そのために、“食べるための力を最も発揮できる状況” を作ってから評価を行うことが大切です。
残念ながら医療機関によってはVFやVEの結果をもとに “食べることができない人” と決定づけてしまい、 口から食べるための支援を行わないところもあります。
そのようなことになってしまわないために、直接食べ物や飲み物で行うベッドサイドでのスクリーニング技術を身につけ、 病院からの評価だけではなく、利用者様の摂食嚥下がどのような状態にあるかを自分の目で見て把握できるようになり、 口から食べるための支援を検討する上での情報を得られるようにしてほしいと思います。
今回は、数あるスクリーニングの中から「反復唾液飲みテスト」「改訂水飲みテスト」「フードテスト」の解説があり、 実技として「改訂水飲みテスト」と「フードテスト」の手技を学びました。
一般的なテキストでは簡単な手順と評価基準のみが記載されていますが、 今回の実技で学んだのは次のような大変複雑な工程でした。
フードテストでは、これに加えて次の手順がありました。
非常に複雑なように感じましたが、講師からは「評価前に環境を整えること、適切にポジショニングすること、 これから何をするのか説明すること、五感刺激を提供すること、水やゼリーを入れる位置、 飲み込む時にしっかり口を閉じること、視線を誘導すること、 全てが “よりベストに近い状態で嚥下能力を評価する” ために必要なことなのです。」と説明がありました。
これまでスクリーニング手技を経験したことがある職員が一人もおらず、 ほとんどの職員が今回の実技研修だけではうまくできませんでした。 これから職員同士で練習し、嚥下障害のある方の嚥下音や湿性嗄声などを聴き、 自分たちでスクリーニングができるようにならなければ、と強く感じました。
「口から食べる支援に関する実技研修」として、 前回のカリキュラム「食事時のベッド上でのポジショニング」 に続き、 「車椅子座位でのポジショニング」が実施されました。
まずは、前回同様 現在自分たちが行っている食事時のポジショニングを行いました。
そのうち1組は “ベッド上でのポジショニングのカリキュラムで教わったポイントを活かしてポジショニングをするように” との指示を受け、 指名された職員は単なる車椅子でのポジショニングではなく、 「食事をする上で」や「嚥下する上で」と、学んだ知識を活かす様子が見られました。
その後、講師の方の解説を交えながら食事時の車椅子座位でのポジショニングが実演されました。
まず「車椅子は移動するための道具であり座るための道具ではない」との話があり、 車椅子を椅子に近い状態に座面や背面を補正する方法と、 それに座った状態(坐骨の安定、大腿の安定、足底の接地、体幹の安定等)が摂食嚥下にどのような影響を与えるかの説明がありました。 実際に補正前と補正後の車椅子に座り比べると、姿勢保持の面で大きく違いました。
テーブルの高さと腕の位置の解説でも、舌骨や喉頭の挙上との関係、摂食時の腕から手にかけての動き、 肘をついた状態でスプーンがどこまで入るか、といったような事について、 適切なセッティングをした場合とそれが出来ていない場合の差を説明いただきました。
また、“円背のある方のポジショニング” や “リクライニング車椅子でなければ保持できない方のポジショニング” についても実演していただきました。
最後に講師の方から「私たちは心身機能も衰えておらず実技体験をしてもそれほど差は感じないかもしれませんが、 高齢の方や障害のある方はその差を強く感じます。 また、状態によっては具合が悪いことを訴えられない場合もあります。 私たちはそれをしっかり認識し、一人一人が少しずつでも気を付けて、 利用者様が安心して安楽に食事ができるようご支援する必要があります。」との言葉がありました。
座面や背面の補正はタオル数枚で移乗前の数十秒でできることなので、さっそく実践し、 今回学んだことが出来ていない場面を見つけたら職員同士で修正していけるようにしていきたいと思いました。
この日は、最初のカリキュラム「食事時のベッド上でのポジショニング」が実施され、 介護職員、看護職員、機能訓練指導員、管理栄養士、介護支援専門員と多職種からの参加がありました。
「現在みなさんの方法で “食事時のポジショニング” をやってみてください。」との指示に 数名ずつで取り組んだあと、「各所について、なぜそのようにしたのか理由を教えてください。」と問われました。
その後、解説を交えながら「食事時のポジショニング」が実演されました。 これまで実践してきたポジショニングと大きく異なり、 すべての処置(頸部角度、足底の処置、圧抜き、クッション配置や入れ方)が 摂食嚥下に関わるメカニズムに沿って行われており、大変感動しました。
ぱっと見た目には大きく異なるように感じませんでしたが、 実際に利用者役になってみると、明らかに安楽な姿勢であることを感じました。
職員ひとりひとりが技術を磨き、「食事をする上での最適な姿勢調整」をご提供できるよう、これからも努力していきたいと思いました。