食嚥下実技研修(2)「車椅子でのポジショニング」

「口から食べる支援に関する実技研修」として、 前回のカリキュラム「食事時のベッド上でのポジショニング」 に続き、 「車椅子座位でのポジショニング」が実施されました。

食嚥下実技研修(2)「車椅子でのポジショニング」の様子

まずは、前回同様 現在自分たちが行っている食事時のポジショニングを行いました。

そのうち1組は 「ベッド上でのポジショニングのカリキュラムで教わったポイントを活かしてポジショニングをするように」 との指示を受け、 指名された職員は単なる車椅子でのポジショニングではなく、 「食事をする上で」や「嚥下する上で」と、学んだ知識を活かす様子が見られました。

その後、講師の方の解説を交えながら食事時の車椅子座位でのポジショニングが実演されました。

まず「車椅子は移動するための道具であり座るための道具ではない」との話があり、 車椅子を椅子に近い状態に座面や背面を補正する方法と、 それに座った状態(坐骨の安定、大腿の安定、足底の接地、体幹の安定等)が摂食嚥下にどのような影響を与えるかの説明がありました。 実際に補正前と補正後の車椅子に座り比べると、姿勢保持の面で大きく違いました。

テーブルの高さと腕の位置の解説でも、舌骨や喉頭の挙上との関係、摂食時の腕から手にかけての動き、 肘をついた状態でスプーンがどこまで入るか、といったような事について、 適切なセッティングをした場合とそれが出来ていない場合の差を説明いただきました。

また、「円背のある方のポジショニング」 や 「リクライニング車椅子でなければ保持できない方のポジショニング」 についても実演していただきました。

最後に講師の方から「私たちは心身機能も衰えておらず実技体験をしてもそれほど差は感じないかもしれませんが、 高齢の方や障害のある方はその差を強く感じます。 また、状態によっては具合が悪いことを訴えられない場合もあります。 私たちはそれをしっかり認識し、一人一人が少しずつでも気を付けて、 利用者様が安心して安楽に食事ができるようご支援する必要があります。」との言葉がありました。

座面や背面の補正はタオル数枚で移乗前の数十秒でできることなので、さっそく実践し、 今回学んだことが出来ていない場面を見つけたら職員同士で修正していけるようにしていきたいと思いました。