粥ペーストの工夫

島津乃荘 栄養科 (栄養科のページタグ「栄養科」の記事)では、 口腔内残留がみられる方への主食として、粥ペーストという形態をご提供しています。

粥ペーストとは、お粥にゲル化剤を加えてミキサー状にしたものです。 通常のミキサー粥は付着性が強く飲み込みにくいのですが、 島津乃荘の粥ペーストは、容易に飲み込めて口腔や咽頭への残留を最小限に抑える物性に調整されています。

先日、介助スタッフから「混ぜご飯の際に粥ペーストがゆるい(水っぽい)場合がある(毎回ではない)」との声がありました。

口腔内保持力が弱いために早期に咽頭に流れてしまう方や、口唇閉鎖が十分ではないために食べこぼしてしまう方などに ゆるい状態の粥ペーストを食べていただくことは、「安全でストレスのない食事」を阻害する要因となってしまいます。

実際に食事介助の場面をラウンドしたところ、ワカメを含んだ混ぜご飯の粥ペーストのゲル化が、充分でない状態でした。

ゆるい粥ペーストの混ぜご飯

島津乃荘 で使用しているのは70℃以上に加熱した状態から温度が下がる際にゲル化していく仕様の製品ですが、 改めて製品の特長やゲル化の仕組みを調べてみると、塩分を含む場合は通常よりも高温に加熱するとよいことが判りました。 そこで、栄養科内で調理師と色々と試行してみることにしました。

加熱調理
しっかりとゲル化した粥ペースト

通常 島津乃荘 では80℃以上に加熱調理していますが、 それでもゆるい状態になる場合があったことから、更に温度を上げて90℃以上に加熱してみると、しっかりとゲル化することができました。 この粥ペーストであれば、咀嚼や送り込みの機能低下が原因で口腔内残留がみられる方へも「安全でストレスのない食事」をご提供できます。

このように、食事の調理だけでなく、利用者様や介助スタッフの声に耳を傾け、食事の改善・ご提供に今後も努めたいと思います。