先日 島津乃荘 に発足した 摂食嚥下口腔衛生委員会 の取り組みとして 今回ご紹介するのは、「利用者様に合う食具選び」です。 この日改善に取り組んだのは次のような困難を抱える利用者様で、食べこぼし・取りこぼしてしまいやすい状況にありました。
- スプーンをしっかり把持することが困難
- 器から食物をすくい口に運び捕食する際の前腕の回内・回外運動が困難
- スプーンホールの側面で器の縁に向けて動かしてすくう
- スプーンの先端方向からの捕食が難しく側面から捕食する
まずは、食事(をすくうところ)がご自身の目でしっかり見えるようポジショニングします。 そして大きな食事動作を必要としないよう、テーブルとの高さの差を調整しました。
更に 前腕の回内・回外運動を代替する「曲りスプーン」に、把持力を補完する「グリップ」をつけます。 スプーンの種類(ホールサイズ・重さ・形等)とグリップの太さの組み合わせを数種類用意し、実際に試していただきました。
スプーンを曲げる角度は、利用者様の食事動作にあわせて調整していきます。
利用者様は「これがいい」「うまくすくえる」など、しっかりと使用感を伝えてくださいます。 実際に使っていただくと、取りこぼしや食べこぼしが目に見えて減りました。
お話ししている中で「こぼしてしまって申し訳なかった」との言葉を漏らされる場面がありました。 「食具を選ぶ」 ということは、食事を綺麗に食べられるようになる、というだけではなく、 利用者様の自尊心にも大きな影響があるのだと、改めて考えさせられました。