今回の 摂食嚥下勉強会 は、食事時のポジショニングの基礎です。 前回のベッド上でのポジショニングに続き、今回は施設の利用者様に多い車椅子や椅子でのポジショニングについての基礎を学びます。
ポジショニングを行う上での注意すべき点はベッドの場合と同じなのですが、 座位保持ができる方が対象となる車椅子や椅子ではベッド上ほど気を付けなくても食事が摂れてしまうことから、 細かな配慮が行き届かない場合があります。
この写真では、一見するとしっかり座れているようですが、実は多数の問題があります。
- 足がフットレストに乗ったままになっている
- 臀部が座面中央付近で接地した「すべり座り」になっている
- 臀部を中心として車椅子に沈み込んでいるように見える
- 背筋が丸まっており後ろに突出している
- 骨盤が後傾し、膝も高い位置になっている
細かな配慮が足りないために 「食べにくい」「食べこぼしが多い」「食事が見えにくい」「力が入らず疲れてしまう」「食べているうちに姿勢が崩れてしまう」など、 利用者様は様々な不便を感じられているかもしれません。
これらの問題点を解決するよう基本的なポジショニングを直したものが、こちらの写真です。
- シーティングで座面を調整
- フットレストから足を下ろす
- レッグサポートを外し、膝から90度下に足底がくるようにする
- 臀部を座面と背もたれに接するように引く
- 下部胸郭を下から支えるよう、背もたれにタオルをいれる
この状態でも、テーブルとの位置関係（高さ・距離）、自力摂取の機能に応じた上肢のサポート、骨盤から両下肢をまっすぐ下ろす調整など、対応するべき点はまだまだあります。
こうしてスタッフに体験してもらい、椅子や車椅子での食事における姿勢の調整ポイントを伝えます。 新入職員の栄養士は「これからのラウンド時に、利用者様のためにできることが増えました」と喜んでいました。
これからも、できる限り利用者様が不自由を感じない対応ができるよう、知識を深めていきたいと思います。
