ここ数年の診療・介護報酬改定では、改定ごとに栄養関連評価の重要性が高まってきています。 その流れの一つとして、患者様や利用者様の食事形態の客観的な基準として 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会による「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(学会分類2013)」の学会分類コードを記入する欄が設けられました。
そこで、今回の摂食嚥下勉強会は先日職員が参加した ニュートリー株式会社 主催 「学会分類実践セミナー」の内容を踏まえた研修を行いました。
一般の方は意外に思われるかもしれませんが、医療機関や介護施設で食事形態を表す名称として使用される「ゼリー食」「刻み食」「ソフト食」「ミキサー食」「ペースト食」などの名称は、各施設等が独自に設定しているものです。同じ名称の食事形態なのに、施設等によってまったく異なるケースが多くあります。
この状態は、「以前利用されていた施設等からの情報に基づいた食事をご提供してみたら患者様や利用者様の摂食嚥下能力に合わない食事だった」といったトラブルの元となりかねません。そして「保有されている能力より下の形態提供による食事意欲の低下や機能退化」や「能力より上の形態提供による誤嚥や窒息」のリスクを生じてしまいます。
このような問題を解決する手段として、共通言語としての「学会分類」を 情報提供や共有に使用するように変わってきたという経緯があります。
しかし、肝心の学会分類を正しく理解していなかったり知らなかったりすると、自施設でご提供する食事形態が、そもその学会分類のどれに該当するかが分かりません。そのために、自施設でご提供する食事形態を含む様々な形態が、学会分類のどれに該当するのかを知り、正確な情報提供や共有ができるようになる必要があります。
学会分類には大きく分けて「食事」と「とろみ」があります。今回の伝達研修では「主食」と「副食」それぞれの学会分類と形態について、カードを使用したゲーム形式で伝達しました。
学会分類の簡易一覧表だけでは判断できず解説文書やQ&Aまで読み解いて初めて分かる部分もあり、間違った部分については「なぜそうなるのか」を協議しながら勉強しました。 中には嚥下訓練食や嚥下調整食に該当しない形態や、逆にどのカードも該当しない分類項目もあるなど、根拠をもとに学びなおす、大変よい機会となりました。
現在私たちがご提供している食事形態の中にも、もうひと工夫しなければ学会分類には当てはまらないものもありますので、見直しながら患者様や利用者様に適切な食事をご提供できるようにしていきたいと思います。