2017年11月の記事

敬和ヘルスケアグループ 全体で口から食べる支援( 摂食嚥下勉強会摂食嚥下実技研修) に取り組んでいる中、 口から食べる大切さとそれを支える使命を 敬和ヘルスケアグループ 全体で認識するための意識教育として、 小山珠美先生の著書「口から食べる幸せを守る ~生きることは食べる喜び~」を題材とした 第6回となる多職種合同検討会をシンポジウム形式で行いました。

第6回多職種シンポジウムの様子

病院居宅介護支援事業所特別養護老人ホームから、 看護職員・介護職員・介護支援専門員・管理栄養士・調理師がシンポジストとなり、 それぞれの考えや現状の意見を4つの議題で出し合いました。

『VFやVEという嚥下するにはハードルの高い状況では 「どのようにすれば食べられるのかを見極める」ための診断ではなく、 「今、食べられる嚥下能力があるか」をみる診断が行われることが多い。 また、食べられると医師に判断されても、それを支える食事介助のスキルが不足している場合には、 医療福祉従事者が患者様や利用者様から食べられる幸せを奪っているかもしれないという問題がある。』 という議題においては、現状では「医師を含めた多職種を動かすための知識」も「食事介助の技術」も不足しており、 もっと勉強していく必要があるとの意見が出ました。

『患者様や利用者様の食べられない理由として「むせや誤嚥をする」「口を開けてくれない」「飲み込まない」 など患者様・利用者様側に原因があるように言い、自分たちの知識や技術が不足していることに目を向けていない』 という議題においては、 実技研修で学んだことを活かしてアプローチを変えてみたたところ、 実際に反応が変わったり全量食べられたりした経験談や、 本にあったように「うまくいったのは患者さんの努力でうまくいかなかったのは自分の努力不足」 と考えていく必要がある、といった意見が出ました。

最後に、座長から会場全体に対して「この本を読んで、このシンポジウムに参加して、 早速明日からこう行動しよう!、これに取り組もう!という決意が生まれた方はここでお話ししてください。」 と促しがありました。

何名かから話がでたものの決して多くはない状況に、座長から 「このような場で手をあげて決意表明することが苦手な方もいると思います。 ただ心にその想いがあるのであれば発言しなくともその決意を行動に移してください。 小さなことであっても完璧でなくともその行動が一歩踏み出すことになり、患者様や利用者様の笑顔や幸せに繋がります。」 と話がありました。

全国の特別養護老人ホームに対して行われた利用者様への調査での 「施設生活で最も楽しみなことは?」という質問への回答は、 家族の面会を抑えて「食事」が一位だったようです。

その楽しみである食事に対して、現在経口摂取の方はより楽しみにしていただけるよう、いつまでもその幸せが続くように、 現在経管による摂取の方は口から食べられる状態に移行することで口から食べる幸せを取り戻すことができるように、 私たちは意識を変え、スキルを身につけ、小さな一歩からでも行動していきたいと思います。

座学としての摂食嚥下勉強会、 技術としての摂食嚥下実技研修が行われていますが、 それらも食事支援に関わる医療福祉従事者の「口から食べる幸せを守る」という「意識」があってこそ理解でき、 身につくものであり、その「取り組む意識」と「スキル」によって患者様・利用者様及びそれを支えるご家族様に、 口から食べることの幸せを感じていただけると思います。

今回の多職種合同検討会をきっかけに、全職員が著書を読むことで自らを振り返り考えました。 さらにシンポジウムを通じて様々な職種、様々な立場の方の意見に触れることが出来ました。 口から食べる支援をグループ全体で取り組んで行く上で、大変貴重な機会になったのではないかと思います。